◆介護付き有料老人ホーム(正社員) → 小規模多機能型居宅介護事業所(正社員/常勤→非常勤)
J・Fさん(女性・36歳)
●介護付き有料老人ホーム(勤務期間:4年5ヶ月/月給手取り約22万円/ボーナスあり)
●小規模多機能型居宅介護事業所(勤務期間:1年/月給手取り約22万円/介護福祉士手当・ボーナスあり)
介護業界でのその他経験:デイサービス
保有資格:介護福祉士
家族構成:長女、長男
*J・Fさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目、
2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
【介護職になったきっかけ】すぐに働ける正社員の仕事を探して
母親に向いていると言われたのは「介護職」
高校を卒業してからは、ジャズ歌手をしていたんです。夜、ジャズバーなどで歌っていました。
歌手の仕事だけでは収入が不安定だったので、昼間はファッションビルで大手アパレルメーカーの販売職もしていました。
21歳で結婚、24歳で長女が生まれたので、ジャズ歌手もアパレルの仕事も辞めて、子育てに専念。4年後には長男も生まれたので、7年間は専業主婦をしていました。
でも、夫婦の間がうまくいかなくなって、31歳で別居、夫と離婚することになったのです。
私は子どもと離れて暮らすなんて考えられない。だから、絶対に親権が欲しかったんです。
それには、「きちんと生活していける」と証明した方が有利だと聞いて、母親に相談すると「とにかく正社員の仕事をしなさい。子どもたちは私がみるから」と言われました。
そして、「働くなら、介護職みたいに固い仕事がいいわ。あなたには向いているわよ」とも言われたのです。
実家に近い有料老人ホームで働き始めることに
ジャズ歌手、アパレル販売とはぜんぜん違う仕事なのに、どうして介護職!?とびっくりしました。
それでも、とにかく子どもたちのためにすぐに働けるところを探そうと思い、介護施設の求人を探し始めることに。
実家からほど近いところに、上場企業の有料老人ホームがオープンし、オープニングスタッフを募集していたので、すぐに応募しました。
親権が取れたらやめればいい、と思っていたので、あまりこだわりや思い入れもなく、介護の仕事を始めたのです。
【はじめての介護職】介護の仕事は楽しい!
生活援助とアクティビティ提供の仕事にハマる
実際に介護職として働いてみると、母親の言うとおり、私は介護職に向いていたようです。ハマってしまいました。
介護の仕事って、なんて楽しいんだろう!って思ったのです。
私は当時、無資格だったので身体介護は行わず、生活援助をするほか、利用者さんが日々を楽しく過ごすための提案をする係でした。
利用者さんとお話をしながら、それぞれの方の好みや願いなどを把握し、施設長や相談員に報告して、アクティビティを提供していました。
利用者さんに楽しんでもらうことが自分のやりがい
お風呂が大好きな方には、香りのいい入浴剤を使ってゆっくりとバスタブに入っていただく。
バラが好きな方なら、庭園にバラを植えて一緒に鑑賞する。
運営に余裕のある法人だったので、私が考えた提案を受け入れ、利用者さんへの実施を私たち現場スタッフに任せてくれました。
利用者さんとお話をし、楽しいアクティビティを企画して実施し、喜んでいただくことが仕事だなんて、こんなすばらしいことはない!と思いながら、夜勤も長時間労働もこなし、あっという間に4年が過ぎました。
【住みたい街へIターン】海外視察がきっかけに
資格があれば、どんな地域でも働ける!
入社して5年目に、社員向け研修として海外視察のチャンスがありました。
ヨーロッパの先進的な老人ホームを巡り、そのエッセンスを自社に持ち帰って実践するような研修でしたが、むしろ研修に行って、さまざまな場所で働ける可能性を知りました。
海外で介護職をしている人たちの中には、自分の資格を使って世界の色々な国で働いている人も多かったのです。
「介護の技術や資格があれば、どんな地域でも、どんな国でも、介護の専門職としてやっていけるのだ、今のところにずっととどまっていなくてもいいのだ」と考えるようになったのです。
ちょうど介護福祉士の資格も取得したところでした。
そうなったら、都会の有料老人ホームにずっといるのがもどかしくなり、研修を受けさせていただいたのに、どうしても転職したくなってしまったのです。
会社には何度も頭を下げ、退職させてもらいました。
そして、大好きな海を眺められる地域で暮らそうと思い、いくつかの候補の中から、東京まで3時間以内で戻れ、交通の便が良い街で暮らすことを選びました。
海辺の観光地で、おもてなしを学ぶためにホテルに就職
子どもたちはまだ小学生だけれど、実家から離れるならば、親の手は借りられない。
だから、夜勤をやらなくてもいい職場を探そうと決めました。それに、子どもと3人で暮らすにはお金も必要。
介護職をやろうとは思っていたのですが、転居して最初はリゾートホテルに勤めたんです。
以前から憧れていたホテルチェーンのリゾートタイプがその土地に新設され、正社員ならお給料がとても良かったので、ホテルで接客の仕事を始めました。
お客様へのおもてなしを学んでから介護の仕事に活かしてもいい、と考えたのです。
ホテル業も夜勤がある仕事ですが、事情を話して夜勤なしにしてもらいました。
ホテルと介護のおもてなしの違いにとまどい
でも、ホテルでの仕事は身体がきつかった。夜勤はないものの、朝7時から夜11時まで勤務、なんてことはざらでした。これでは子どもたちの世話もろくにできません。
それに、介護のおもてなしとホテルライフのおもてなしとでは、当然ながら立ち位置が違います。
ひたすらお客様の心地よさを追求するのが、ホテルのおもてなし。
介護のケアは利用者さんの強みを引き出すことが理想だと思っていたので、介護現場とホテルの大きな違いに悩みました。
1年くらいホテルで働いてみようと思っていたのに結局2カ月で辞め、デイサービスの介護職の仕事を探すことにしました。デイサービスなら夜勤もないし、働きやすいと思ったのです。
2カ月間に、地元の介護施設の評判や情報なども集めたので、たくさんの方から「あそこなら働きやすい」と聞いたデイサービスに、パートで勤務することにしました。
【もう一度介護職へ転職】ホテル→デイサービス
地元で評判の良いデイサービスへ
たしかに、なごやかで感じのいいデイサービスでした。
利用者さんもスタッフも地元の女性が多く、関係性がつくりやすいのも良い環境だと思いました。
けれど、「介護」を「お世話」だと思っていて、何から何までやってあげることをよしとする。
利用者さん本人のやりがいを引き出し、自分の力を発揮することを促すような支援もありません。
それよりなにより、経営者の男性に「この方のケアプランは?」と聞いたら「ケアプランってなんですか?」と言われたんです!
地元のデイサービスのケアに驚き
このデイサービスは、地元の女性たちの地域雇用のために生まれた組織のようで、農業の合間に数時間働く、という感覚の方が多かったのです。
あるいは、ボランティアで地域のために尽くす、というような。
介護の仕事を専門職だと考えている人は少なく、地域の介護力ってこんな感じなのかな……と、がっかりしました。
それに、もし、何かトラブルがあったときも、専門知識や経験が薄く、危険だと感じました。
【理想の介護をするための転職】デイサービス→小規模多機能型居宅介護
悩みながらも、地元のことをもっと知ろう、地元の方々とつながりを持とうと、さまざまな会合や勉強会に顔を出す中、「地域の福祉をよくする会」のような会合で、老人ホームや障害者向けホームなど、さまざまな形態の介護施設を幅広く運営する社会福祉法人の社長さんと知り合いました。
介護のことについても非常に詳しく、地元高齢者の今後や、地域の暮らし全体を考えて発言するような方です。
思わず話しかけると、すっかり意気投合。勉強会で何度かお会いして話をするうち、「うちの施設に来てくれないかな?」と言ってくれて、二つ返事でOKしたのです。
自分が理想としている介護ができるところに、出会うべくして出会った、という気持ちで、本当にうれしく思いました。
次回は、現在の職場での環境や働き方について、Jさんの思いをお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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